(TRUE END前のタイトル画面)
↓
(TRUE END後)
(ある人物の心の雪が溶けると共に、タイトル画面の雪がなくなる演出がステキだった・・・)
あやかしびとをクリアして、感想を書きながら次のゲームを始めようと考えました。 ゲームストックを見ながら学園もの以外をやりたいと思い、軽い気持ちでクロウカシスに決定。で、やり始めたところ、これが思いのほか面白く1週間ちょっとでクリア!久しぶりに「熱中した!」と感じましたね。
シナリオ、システム
1964年東京オリンピックを控えた年の冬、東京の私立大学に通う古林智士は民俗学ゼミの先輩・切原想子に連れられ、北上川の上流に位置する七月村の伝承を調査するため現地へ向かう。途中道に迷ったあげく吹雪にあい遭難しかけるが、運良く通りかかった七月紅緒の馬車に拾われ、山間に建つ彼女の屋敷に迎えられる。折りしも屋敷では三女・詩音の結婚式当日であり、智士と想子も客人として招かれ出席するが、翌朝新郎の六曜勇が他殺体で発見される。電話線が切断されている上、麓の村へ通じる唯一の道である吊り橋も人為的に落とされている事が判明。誰が殺人犯かも分からないまま、次に麓から御用聞きがやって来て事態が知れるまでの三日間、智士は陸の孤島となった屋敷で他の十一人と共に過ごす事を余儀なくされてしまう。(Wikiより)
・いわゆるクローズドサークルで起こる殺人事件を解決していくもの。自動進行パートと探索パートに分かれていて、前者は普通のノベル。後者は館内を移動し、マウスカーソルで室内を調べてアイテムを入手→使用したり、人物と会話をしてキーワードを得たり、被害者を調べて重要情報を見つけたりする。昔懐かしのADVシステム。これが面白かった!!
探索パートは時間制限があり、会話1分、移動2分、探索5分。殺人については、アイテムを駆使したりプレイヤーの行動によって防ぐことが可能な場合がある。このあたりは製作者の工夫がうかがえました。システム的にはドリキャスの「慟哭 そして…」、PS2の「雨格子の館」が近いかな?
館の見取り図、人物情報、アイテム情報、時間を横軸にしたフローチャートは主人公の手帳(Note)を選択することで確認可能。探索の補助部分も丁寧に作られていました。
(探索パート)
・いや初めはですね・・・侮っていたんですよ。ノベルゲーに形ばかりのADVパートを付けたものだろと。実際、初めの印象は探索でのテキストが淡泊、会話パターンが少なく、その通りでした。
しかし、やっていくうちに意外なところに重要アイテムがあったり、証言モードで大かた同じ返答の中に大事なキーワードが潜んでいたりと。あれ?結構作り込まれてるのでは?と思うようになって・・・。
(証言モード)
その後、時間によって人がスケジュールされているのに驚き(例:2日目午後 17:30 殴られた辻村さんが事務室で休んでいる→17:50 辻村さんが自室に移動して休んでいる)、ペンチとナイフを使っても死んでしまう藍さんに「ええええ!ここまでやってダメなの!?」とビックリさせられ。。苦労の果て、救出できた藍さんが再度・・・された時には、
おじさん一本とられちゃったよ・・・。
(犯人指定モード)
何と言うか、第一印象は良くないが付き合っていくうちに良いところが見えてくる友人みたいなソフトで、徐々に作り込みが見えてきて・・・。上記のあたりではすでに夢中でした・・・ええそれはもう本当に。
・真犯人の予想は下記のような変遷を。
(1週目 あかね犯人END)
arto「真犯人誰?あかねさんか、辻村さん?」
(2週目 あかね犯人END)
arto「真犯人は辻村さんかなぁ〜?」
(3週目 殺害BADEND)
arto「誰?麻夜さん?でも麻夜さん別ENDで殺されるし。あかねさんやなるみさんは他の犯行で一緒にいたし」
(4週目 麻夜さん逮捕END)
arto「辻村さんだろ?」
(5週目 詩音逮捕END)
arto「んーー。七月家の謎はかなり解けたがすっきりしない・・・」
(6週目 途中)
arto「辻村さんじゃない!」
完全に翻弄されました。本当に楽しかったです。
麻夜さん逮捕ENDでのセリフと、紅緒さん事件と、Hシーンでの様子で確信した訳ですが・・・やられました・・・。ただ、このゲームはここからが長かった!犯人が分かっても中々追いつめられないんです!多くは詩音さんが逮捕されたり背後から襲われたり、挙げ句には犯人と分かっても告発できなかったりで中々辿り着けない。それがもう一つの面白さでしたね。
「同じ作業でつまんねえんだよ!クソが!」とおっしゃる方がいるかもしれませんが、まあ分かる。しかし、それ以上に私はやりがいを感じて楽しかったです!総プレイ時間20〜25時間、周回数15〜20回。TRUE ENDは夜が明けるような清々しさがあり、紅緒ENDは裏ENDと言ってよい内容で切ない終わり方。両方とも胸に残りましたよ。
難易度、エンディングについて
・難易度は非常に高い。アイテムの在り処もそうですが、分岐と好感度。この2つが本当に分かりづらい。私は出来るだけ攻略を見ないでやりましたが、
(ほぼ自力)
詩音逮捕END、詩音BADEND、殺害BADEND、麻夜逮捕END、あかね犯人END、事件解決END、TRUE失敗END、TRUE END (木片のありかと地下脱出とTRUEへの分岐は攻略見る)
(攻略見る)
HappyEND 想子、復讐成功END、紅緒END、六曜END
という結果でした。しかも、ここまでやってEND達成率72%、ルート達成率88%という・・・。まあ、私がここまでで満足したので良しとしましょう(過労死)。
この手のゲームは攻略を見てしまうと一気に萎えるという特徴がありますので、見ないでやるのが断然に楽しめます!ただし、この高難度と繰り返しプレイ必須の状況・・・。つまり、このゲームを楽しむために一番必要なのは「根気」です。
テキスト
・通常のテキストは普通。それ以上の感慨はなし。探索パートで調べた時に返ってくるテキストと証言パートでのテキストは味気ない。減点対象。関係ない話だと「知りません」「分からんな」ばかりでロボティック。もう少し頑張って欲しかった。
証言パートについて。クリア後に攻略にほとんど必要ないと知ってびっくり。面白いシステムだけにもっとゲームに関わってきて欲しかったです。
グラフィック
・美しい。そして何と言えば良いのでしょう?「雰囲気がある」というか。
立ち絵、一枚絵、背景、すべて素晴らしかったです!被害者は大抵が首狩り族(DQ2)に首をちょん切られるので、被害者の一枚絵は結構グロかったです。
音楽
・全体的に高レベル!高レベルだけでなく、こちらもグラフィック同様「作品の世界観を形作る」という製作者の意志を感じました。このような曲を作られてしまっては参った!と言うしかないじゃないですか!(歓喜)
お気に入りはOP曲「Snowdrop」とタイトル画面(クリア後)の「Flore Pleno」。今、BGMを聴き直しましたがやばい!やばい!イイ!!全部の曲が!!音楽だけなら満点あげる!
ボイス
・高品質!中でも想子さん役の葉村夏緒さん。想子さんの声にとっても合っていたと思います。紅緒ENDでの苦しみながらの歌の演技が印象に残っています。あと紅緒役のあじ秋刀魚さん。脂が乗っていそうな名前も良いですが、紅緒の男っぽい演技と女らしい演技の使い分けが素晴らしかった。Hシーンでは特に良かった。(感謝)
エロ(満足度をA〜Cの3段階)
B:システムだけでなくエロも頑張ってる!
シーン数17。巨乳半分、普通半分。ほとんどが和姦。全体的に妖艶な雰囲気が漂っておりエロい。藍さんもあかねさんもなるみさんも。テキストもグッド。麻夜さんと藍さんという2大巨乳の中、メイド服に隠れて大外からまわってきたあかねさん、実は一番大きいという説あり。
・肌の質感
良かったです!肌の柔らかさが画面のこちらまで伝わってくるようで最高でした。特におしり。ゲームを立ち上げられる方はCGギャラリー4ページ目のあかねさんの尻、7ページ目の想子さんの尻見てみ?最高だろブラザー?
・想子さん
「想子どの
クールで知的で Hが可愛く
これには我も 満足したなり」
(とある剣客、魂の短歌)
お気に入りのヒロイン
・ 切原想子(クリックで関連ページ)
(紅緒さんも良かったが・・・。クールなお姉さん。薄幸の美女。ツボ)
まとめ
・ああ、面白かったなぁ〜。
システム、テキスト等々に不満点がありましたが、思い返してみるとクロウカシスをプレイしている時間は本当に楽しかったんです。熱中していたんです。
このソフトの特徴その1。昔懐かしいADVシステムを使ったサスペンス。特徴その2。グラフィック、音楽が作り出す上品な雰囲気。それらの特徴が相まって、一般的なエロゲからかけ離れた独特な世界観を確立していました。
エロゲと言えば、今や多くがノベルゲームとなりました。「もう少し多様なエロゲが出てほしい」と常々思っているartoです。そのような時代にあっても、こだわりを持ってるこのゲーム、こだわりを持って作っているInnocent Greyさん、私は大いに評価いたします!!Innocent Greyさんのファンになりました。ゲームストックを消化した頃に同社の作品を探求していこうと思っています。
最後にもう一度。このゲームを楽しむのに重要なのは「できるだけ攻略を見ない」ことと「根気」ね。
(2013年10月18日 記載)
(C)Innocent Grey
(関連ページ)
・切原想子について(愛すべきキャラ)
・七月紅緒について(愛すべきキャラ予備)
・曲「Flore Pleno」の感想