本日はゲーム「同級生」(Windows)の感想です。
先月、「野々村病院の人々」クリア後にやりたくなりダウンロード版(フルボイス版)を購入しました。そして、光速を超えたタキオンの速さで1週、2周。今回3週目が終わり、感想を書くところです。
やる前の知識として、
・セガサターン版の「同級生if」は経験あり。
・エンディングはほとんど覚えてない。
・でも凄い楽しかった記憶あり。
・DOS版は経験なし。
です。
ゲーム内容:8月10日〜8月31日の間、プレイヤーは先負学園3年の「たくろう」を操作して、女の子と仲良くなります。高校生最後の夏、たくろうと一緒に様々な恋を体験する青春の淡く切ない物語。
簡単に言うと、先負町と矢吹町、2つの箱庭の中で行う恋愛ゲームです。しかし、完成度が非常に高い。とても1992年に作られたと思えない。
まず、主人公「たくろう」を自由に動かせる点。2Dマップ内の好きなところに行けます。行動自体も何をするのも自由。8月10日〜8月31日の間に、学校に行き続けてもOK。隣町で遊んでても問題ない。家でオ○ニーし続けても自由(オナニーという行動はないですけどw)。この自由度が「自分で動かしているんだ!」という気持ちにさせてくれます。
次に、時間を絡めたフラグ管理。このゲームは、15分刻みで時間が進み、時間と場所の条件でキャラが登場したり、イベントがあったりするのですが、非常に綿密に管理されていると思います。これ、作る側はかなり大変だったのではないでしょうか?
そのため、まるで登場人物が実際に町で生活しているように感じます(言いすぎ?)。会話をすべて合わせるとかなりの量じゃないかと。言葉での説明が難しいのですが、この点はマジですごいです!実際に先負町にいる臨場感が高まります。
そして、メッセージの完成度。2Dマップから場所に移動すると、マウスカーソル型のアドベンチャー画面になるのですが、調べて返ってくるメッセージが細かい。同じメッセージが少ない。色々なところを調べる楽しみがあります。これも製作者は相当労力がかかったのでは?
テキストはいわずもがな蛭田テキスト。クスッと、ニヤニヤとさせてくれます。ほんと面白いよ、あんた(笑)。
<お気に入りの会話:学校の校庭でモブキャラを調べる>
たくろう「かわいいなぁ」
女生徒「好きな人の前ではそうです。」
たくろう「俺の前では?」
女生徒「人間を放棄しています。」
以上のようなシステム部分が相まって、 まるでたくろうになって、高校生活最後の夏休みを体験している気分になりました。
このゲーム性は凄い。ゲームをしている楽しさと感情移入の面で、大いに貢献しておりました。
<ちはるさんもイイ>
システム以外について、以下の通り。
シナリオ:シナリオ重視のゲームというより恋愛ゲームなので、ストーリー性は薄いのですが。この同級生はたくろうの成長物語だと思いました。
特定の彼女を持てなかったたくろうが14人のキャラと出会い、高校3年最後の夏に色々な経験をして成長し、最終的に一人の女性に恋をして幸せにしようとする。EDでは大人になった後が描かれているのですが、どれも幸せで心が温まるものでした。たくろう、幸せになって良かった。。。
好きなED
・舞ちゃんED ⇒ すごくいい終わり方だった!甘酸っぱく切ない思い出が引き立つ、かつ、余韻を残すような終わり方で個人的にベスト!これを正史にしますw。舞ちゃんが一番好きだからという噂もありますがw。
たくろうは舞ちゃんを幸せにする為に一生懸命。舞ちゃんはどんな状況でもたくろうに感謝し付き添っていく。そんな2人がステキで心が温まりました。おばあちゃんが子どもに「私の若い頃はね・・・」と伝説を語るような終わり方。この感覚、お分かりいただけますでしょうか?
・麗子さんED ⇒ イイ!途中の経過はおいといてねw。ずっと2人で幸せに暮らし、最後にああいって終われることは幸せなこと。切なさ残るエンディングです。
・美穂ちゃんED ⇒ かわいくなりすぎワロタ。
グラフィック:溜息が出るくらい綺麗。人物しかり、背景しかり。比喩ではなく実際に溜息が出ました(笑)。エルフスタッフ、あんたら、凄いよ。この色遣いには、葛飾北斎もあの世で腰を抜かしていることでしょう。
立ち絵、一枚絵共に言うことありません。竹井さんのキャラクターデザイン、いいですよね。今の人が見ると「古臭い」と言われるかもしれませんが、私は全然古いと感じませんでした。(年の差か?)
あと、細かい点で言うと、キャラのまばたき。エルフのゲーム(蛭田さん、菅野さんのゲーム?)は多くがまばたきを入れてますが、これがあるとないとではキャラの躍動感が全然違うと思うのです。入れるだけでキャラが動いているように感じる。しかも一枚絵でも動くんですよね。こういう細かいところまで気を使う点、評価できます。
音楽:システムの完成度に比べると、普通、平凡。その中でED曲「素顔のままで…」。これ最高!切なく甘酸っぱい思い出を引き立てる歌詞、メロディー。この曲と合わさったED演出、大好きですわ〜!!2人が幸せになって本当に良かった、と感じさせてくれる。デフォルメキャラがかわいくて幸せな余韻にひたらせてくれる。このEDでゲーム全体を締めていますね。EDって何気に大事ですよね〜。
エッチシーン:エッチがないキャラがいるのは正直残念。話によると、DOS版から比べるとエッチシーンが少なくなったようですね。ですが、甘酸っぱいプラトニックな部分に重点を置いたと思えばこれでも良いと思えました。
お気に入りのキャラ
・桜木舞(クリックで関連ページ)
the best of お嬢様キャラ。容姿端麗、頭脳明晰、清楚で上品。何気に芯が強く、真っすぐな部分もステキ。後世まで語り継がれる永遠のお嬢様キャラだと思います。最近、このような正統派なお嬢様っていないですよね(いますか?)。なんででしょうね?(桜木舞のページは←リンク)
最終的なまとめ:素晴らしいゲームでしたっ!!!
完成されたシステム、世界観の中で、たくろうと一緒に甘酸っぱく切ない思い出を体験させてくれる素敵な素敵な作品。終わらせるのが非常に惜しかった。。。
このソフトの心揺さぶられレベルは「特大」です。つまり、最高ということです。「えー!このソフトが最高かよ!ありえねぇー!」とか「もっと評価の高いソフトがあるのではないですか?」という意見があるかもしれませんが、だまらっしゃい!私はこのソフトで大いに楽しませてもらい、その完成度の高さに最大限の評価を送りたくなったのです。
昨今の美少女ゲームはビジュアルノベルが主流だと思います。私もそのジャンルで好きなタイトルは沢山あります。しかし、ストーリーを楽しませる以外に大事なこともあると思っています。それは「ゲーム」であること。「野々村病院の人々」でも同じことを書いた気がしますが、この「同級生」は昨今のビジュアルノベルではなく「ゲーム」なのです。ストーリーが良い、悪いでなく、「やっていて楽しい」のです。これはゲームをやる上で非常に重要なことではないでしょうか?
このゲームからひしひしと伝わってくる「ユーザーを楽しませたい!」という想い。蛭田さん、製作スタッフの想い。そのような想いで作られたゲームだからこそ、私は最大限の賛辞と敬意を表したいと思います!!
今のゲームに慣れ親しんだ方からすると「古臭くてつまんない」「そんな評価するソフトか?」といわれるかもしれませんが、私は蛭田さん、菅野さんのゲーム、この同級生が大好きです!これぞ「エロゲ」。永遠に愛されて欲しいソフトです。同級生、本当にありがとう!
(2010年11月23日 記載)
(C)elf